スリッページの意味と発生するケースを完全ガイド!損失を避けるために必要な知識とは

スリッページとは、注文価格と約定価格の非意図的なズレのことを言います。スリッページは意図せずに生じるもので、取引システムのタイムラグが原因で発生します。ですので、理論的には完璧に防ぐことはできないものです。私たちにできる対策としては、できるだけスリッページの発生率が少ない証券会社・FX会社を選ぶこと。

この記事では、スリッページについて初心者にもわかるように簡単に説明していくので、是非参考にしてみて下さいね。

この記事を書いた人
株式会社ジャパンインベストメントスクール 株式投資コンサルタント ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格 日本最大級の投資スクール・メールマガジン「ジャパンインベストメントスクール」に所属。毎朝10万人以上に向けて、相場情報を届ける。

スリッページの意味とは何?わかりやすく解説

スリッページ(Slippage)とは、注文時の表示価格(逆指値注文の場合は、注文価格)と実際の約定価格との差額です。つまり、注文価格と約定価格に差が出てしまうことを言います。

スリッページとは、もとslipから派生した言葉で滑るという意味の言葉です。変動が大きい相場となっている場合などには、スリッページが発生する可能性があり、不利なレートもしくは有利なレートで約定する可能性があります。

スリッページはなぜ起こる?基本的な仕組み

スリッページが発生する理由は、注文をしてから約定するまでにタイムラグがあるからです。注文ボタンを押してから、その注文が証券会社・FX会社のシステムがその注文を認識して約定するまでの間に価格が動いてしまうからです。

つまり、スリッページはあなたの注文と証券会社・FX会社の約定のタイムラグによって生じると言えます。

スリッページが発生する時間帯・タイミング

スリッページは、流動性が低い時間帯に発生しやすいと言えます。FX会社はいくつもの金融機関と提携しており、それらの金融機関は為替市場で実際に取引を行う為替ルートを基準としてトレーダーに為替レートを提示しています。

流動性の高い時間帯であれば、為替市場に参加している金融機関が多いため、FX会社が受取るレートが豊富で注文と約定がほぼ同時に成立します。しかし、流動性が低い時間はトレーダーの注文とFX会社の約定の間にタイムラグが生じやすくなってしまうので、スリッページが起こりやすくなります。

さらに、重要な経済指標が発表された直後はトレーダーが多くなり注文が殺到します。注文が殺到すると、急激なレートの変動が起こるようになってスリッページが生じやすくなります。

指値注文・逆指値注文とスリッページの関係

指値で注文を行うとスリッページしにくくなり、逆指値の注文はスリッページしやすくなっています。その理由は、指値注文は指定した値段に達した瞬間に約定されますが、逆指値の場合、指定した値段に達した瞬間に成行注文がなされてから約定されることになるので、タイムラグが生じて約定が遅れるからです。

結果として、逆指値注文の場合にはスリッページが起こりやすくなってしまいます。

成行注文に発生するスリッページ

成行注文の場合、スリッページが発生しやすい傾向にあります。成行注文はすぐに注文を出したいときに使われる注文方法です。成行注文は為替市場が大幅に動いた時などはすぐに買い(売り)注文を出すことができるというメリットがあります。

値動きをみてすぐに注文を出せる成行注文ですが、注文をしてから約定までに時間がかかり、この短い間に為替レートが変動してしまって、注文時と成行き価格にズレが生じてしまうのです。

ストリーミング注文時のスリッページ

配信された為替レートをみながらリアルタイムに注文を出す方法とは、ストリ−ミング注文と呼ばれます。ストリーミング注文は、注文ボタンをクリックした時点で表示されているレートで指値注文されることが特徴です。成行注文ではありません。

ストリーミング注文は不利な方に価格がスリップした場合は、設定してある許容スリッページ値を超えた場合に約定しないようにすることも可能です。

ストップロスで注意すべきスリッページ

FX取引や株取引において、自分の予想に反して相場が突然暴落してしまった場合に備え、損失を限定するために行う注文はストップロスオーダーと呼ばれます。

過去、スイスフランが暴落したスイスフランショックと呼ばれる事件がありました。そのような場合でも、ストップロスオーダーであれば損失を限定することが可能です。ストップロス注文は指定した価格で発動する成行注文のようなものなので、相場環境が安定している状況では指定した価格で注文が通ります。

しかし、ストップロス注文も万全ではありません。相場が暴落しているような場合、急に値が飛んで次に動いた時点で約定してしまうのです。つまり、ストップロス注文をしていても、スリッページが大きい場合には思わぬ損失を被る可能性があるので注意が必要です。

スリッページのメリット・デメリット

スリッページがあることによって、相場が荒れていても約定しやすくなるというメリットがあります。スリッページがもしないような場合、約定させることができないので、大きく価格が下がって損失が出ている場合でも損切りすることができないので、大きな損失を被る可能性があります。

スリッページがあることによって、多少損失を被ることがあっても約定することができるのです。これがスリッページのメリットと言えます。

一方で、スリッページがあることによって、自分が注文したタイミングと約定したタイミングがズレてしまう点はデメリットと言えます。スリッページは有利にも不利にも働くことがあるので注意が必要です。

スリッページとロスカットの違い

ロスカットは損失の拡大を防ぐために意図的に注文を出すことを言います。一方、スリッページは、注文した価格と約定した価格が意図せずズレてしまうことを言います。

スリッページとスプレッドの違いとは

スプレッドは、単に売値と買値の差額のことを言います。売値と買値にどれだけの差(スプレッド)があるかを意味するものです。一方、スリッページとは、注文した価格と約定した価格の差額のことを言います。

EAにスリッページが与える影響とは

自動売買ソフト(EA)を使っている場合には、スリッページが成績に影響を与える可能性があります。スリッページが大きい場合には、注文した値と約定される値が大きく離れるので、大きな損失を被る可能性があるからです。

EAを使えば自動で売買が行われますが、それでも証券会社などの取引システムを通すことに変わりはないので、通常の注文と同じようにスリッページの影響を受けます。

スリッページが少ない証券会社・FX業者一覧ランキング比較

スリッページが少ない証券会社・FX業者を選ぶことは非常に重要です。なぜなら、スリッページが少ないということはその会社の取引システムの処理能力やサーバー能力の高さを意味しているからです。証券会社のスリッページ発生率は以下の通りです。

スリッページ発生率0%とは?

スリッページ発生率が0%であるということは、注文価格で100%約定が完了していることを意味します。つまり、約定力が高いと言えます。約定力が高いということは、注文したときの価格(注文価格)とFX業者が取引を成立させる価格(約定価格)の差が小さくなりますし、約定力が低いと価格の差が大きくなってしまいます。

特に、相場の動きが激しい場合、約定力が低いと注文から成立までにタイムラグが発生するのでスリッページが大きくなってしまいます。

上で説明したように、スリッページ発生率が0%の証券会社・FX業者であれば安心して取引ができます。スリッページ発生率が0%であるところもありますし、IG証券はノースリッページを謳っており、安心して取引が可能です。

金融庁のスリッページ規制導入について

2011年に、米国のFX会社であるFXCMがスリッページを不正に操作したとして多額の罰金を課せられました。FXCM社は、FX取引を行った顧客にとって有利なスリッページが発生した場合、それを顧客に還元することはせず自社の利益としていました。不利なスリッページが発生した場合には、そのまま顧客の約定値に反映させ自社が損失を被らないようにしていたのです。

この事件をきっかけとして、スリッページに関する規制の必要性が認識されるようになり、2013年に金融先物取引業界の自主規制ルールとしてスリッページ規制が導入されました。

スリッページ規制では、顧客にとって不利なスリッページが発生する場合(注文時の価格より約定価格の方が顧客にとって不利な場合)には、顧客にとって不利な価格で取引を成立させる一方、顧客にとって有利なスリッページが発生する場合(注文時の価格より約定価格の方が顧客にとって有利な場合)にも、顧客にとって不利な価格で取引を成立させなければならないことになっています。

海外FX業者のSTP口座とECN口座・スリッページ比較

海外FXを行う場合、「STP口座」もしくは「ECN口座」のどちらかの口座を開設することになります。STP口座においては、海外FX業者が契約しているトレーダーから受けた注文について銀行やLPといったカバー先へ流す取引方法をとっています。

一方、ECN口座では、電子取引所に参加している参加者同士によって相互に注文を出し合い、互いに注文を約定させる取引方法をとっています。一般に、STP口座の場合スリッページが大きくなる可能性がありますが、ECN口座はスリッページが低くなります。

スリッページの設定方法例

証券会社・FX業者によっては許容スリッページの値を設定することができます。事前に設定しておくことによって、スピーディーな注文が可能となります。例えば楽天証券では、取扱全通貨の許容スリッページの値の設定が可能です。

他に、マネーパートナーズでは、スリッページなし、約定拒否なしを謳っているので、注文を100%約定させることができます。

さらに、GMOクリック証券では、設定した範囲以上にレートが変動した場合でも注文を成立させないよう、許容スリッページを設定することが可能です。

スリッページの設定は損切り時に要注意

相場が荒れて損切りが発生しているような場合、スリッページの設定は非常に重要です。きちんとスリッページの設定を行っておけば、想定外のレートで約定するリスクを回避することができます。

もし自分が注文した値段と、実際に約定する値段が変わった場合に、許容スリップ範囲外であれば約定しないようにすることができます。

自分で許容できる範囲のスリッページを設定して、その範囲の中でスリッページが起きた場合は約定が不成立となるので思わぬ損失を回避することが可能です。

しかし、例えば、スリッページを狭く設定していると約定させることができずに損失が増えてしまう可能性があります。特に、損切りしなければならないような場合には、スリッページを設定していても大きな損失が出る可能性があるので注意しなければなりません。

スリッページ設定値の許容範囲・初心者はいくつがおすすめ?

許容スリップを設定することによって、思わぬ価格で約定するのを防ぐことができます。値動きが激しく、早く決済しないと損失が大きくなってしまうような場合、許容スリップを0としているとなかなか約定できなくなります。そのような場合には、許容スリップを大きく設定しなければなりません。

一方、大きなレバレッジをかけている場合など、ほんの少しの差で大きく利益が変わってしまう場合には、許容スリップをなるべく小さく設定しておくことが大切です。

ただし、スリッページの設定値は人それぞれ異なります。以下で示すスリッページ設定値の許容範囲は参考程度に留めて下さい。

値動きが小さい時 0~0.3pips
値動きが大きい時 5~10pips
絶対に約定させたい時 5pips
スキャルピングを行っている時 0.3pips

株式投資でのスリッページ対策

FXだけではなく、株式投資でもスリッページは起こるものです。そのため、株式投資を行う場合でも、きちんとスリッページについて理解しておかなければなりません。

OCO注文ではスリッページ発生率が高まる?

上で説明したように、FX業者によってスリッページ発生率は異なります。特に、アメリカ雇用統計発表時など、相場が大きく動く可能性がある場合、スリッページが発生しやすくなるので注意が必要です。

そんな状況でもできるだけ損失を出さない注文方法として、OCO注文があります。OCO注文は、今後の相場の動きを想定し、同時に2つの注文を出すことで、どちらかの注文が成立したらどちらかをキャンセルする注文方法です。この方法を活用すれば、相場がどちらに動いても対応することができます。特に、相場が大きく動くような状況下においてOCO注文は有効です。

ただし、変動しやすい相場においてOCO注文をする場合でもスリッページが発生する可能性があるので注意しなければなりません。

スキャルピング時のスリッページ注意点

スキャルピングによって投資を行っている場合には、スリッページに特に注意しなければなりません。なぜなら、スキャルピングは僅か数銭~数十銭の取引を何度も繰り返して利益を出す投資方法であるからです。

スリッページが発生して約定価格がズレてしまうえば、僅かな利幅がなくなってしまう可能性があります。そのため、スキャルピングを行う場合、きちんとスリッページが少ない証券会社・FX業者を選ぶことが大切です。

バイナリーオプションはスリッページが発生しない理由

バイナリーオプションにおいては、スリッページは原則として発生しません。その理由は、バイナリーオプションは実際の為替相場でのトレードは行われていないからです。

バイナリーオプションでは、業者側がサイトで表示されるチャートを見てトレードを行っています。そのため、ユーザー側が投資を行ったタイミングで取引が行われるわけではありません。結果として、バイナリーオプションにおいてスリッページは発生しないのです。

スリッページが有利になる例

不利なイメージがあるスリッページですが、スリッページが有利になることもあります。注文のタイミングと約定価格が負の関係にある場合には、不利なスリッページとなりますが、正の関係にある場合には、有利なスリッページとなるからです。有利なスリッページも、もちろん投資した側の利益となります。

ブレイクアウトはスリッページが発生しやすい

ブレイクアウトとは、過去一定期間の高値を上抜いた場合、もしくは過去一定の機関の安値を下抜いた場合にエントリーを行って、その後イグジットを行う投資戦略のことを言います。

ブレイクアウトが生じているタイミングは、多くの投資家が注文を行うタイミングでもあります。投資家からの注文が殺到した結果、スリッページが起こりやすくなるので注意が必要です。

システムトレードにおけるスリッページ対策

システムトレードは、自動売買取引とも呼ばれ、予め決めておいたルールにしたがってトレードを行う方法を言います。システムトレードによってどんなに機械的にトレードを行ったとしてもスリッページを防ぐことはできません。

システムトレードにおいては、板が厚い銘柄へシグナルを出そうとする対策が有効となります。板が厚ければ、多くの投資家がその銘柄で取引を継続的に行っているのでスリッページの発生を抑えることができます。

スリッページを減らす対策

スリッページを減らす代表的な対策としては、東証一部上場銘柄のシグナルを増やす方法があります。東証一部上場銘柄は市場の影響を大きく受ける銘柄であるため、その値動きをシグナル(目安)にしておけば、将来の急激な値動きをある程度予測することができます。

さらに、NDD方式(インターバンク直結型)のFX会社で投資を行うのもスリッページ対策となります。NDD方式を採用しているFX会社は、投資家が行う注文について、FX会社を媒介せず、直接金融機関に発注する方式を採用しています。FX会社を通さない分、タイムラグをなくせることが特徴です。

スリッページの影響で大損する例

スリッページは相場が大きく動く際に発生しやすい傾向にあることから、一度発生すれば大きな損失が生じる可能性があるため注意が必要です。実際、スリッページで大損したと言う人は数多く存在します。

スリッページが生じると注文価格と約定価格が大きくズレてしまうので、注文のタイミングで損切りできていると思っても、約定した価格は大きな損失になっていたなんてことも普通に起こります。

スリッページを防ぐためには、まずは何よりも約定できる証券会社・FX業者を選ぶことが大切です。その上で、大きく相場が動きやすい経済指標が発表されるようなときには取引を行わないなど、きちんと対策を行うことが大切です。

まとめ

証券会社・FX会社によってスリッページの発生率は異なります。スプレッドなどの項目を重視して証券会社・FX会社を選ぶことは大切ですが、スリッページは大きな損失を被る可能性があるため、きちんと管理しておかなければなりません。

特に、投資初心者は慎重に証券会社・FX会社を選ぶようにすることが大切です。