エリオット波動ってなに?相場の波をかんたんに読むテクニカル分析の方法とは

投資で利益を上げるには、相場の理論を知っておく必要があります。その中でも、よく使われるのが「エリオット波動理論」です。

今回は、エリオット波動理論の基本的な知識を解説していきます。

この記事を書いた人
株式会社ジャパンインベストメントスクール 株式投資コンサルタント ファイナンシャルプランナー3級
児玉一希
プロフィール・所持資格 日本最大級の投資スクール・メールマガジン「ジャパンインベストメントスクール」に所属。毎朝10万人以上に向けて、相場情報を届ける。

目次

エリオット波動理論とは?

エリオット波動理論とはラルフ・ネルソン・エリオットが考案したFXや株式投資のテクニカル理論のことを言います。市場平均の推移を表す際に利用される理論となります。

つまり、エリオット理論は将来の市場平均の推移を予測することで、投資によって利益を上げる目的があるのです。

エリオット波動では、1つの相場に上昇時の5つの波動と、下降時に3つの波動が存在する、とされています。

この理論によって、相場は上昇時にはじわじわと、下降時には一気に下落するという傾向がわかっています。

エリオット波動にも活用できるフィナボッチの黄金比率とは

エリオット波動には、フィボナッチ数列や黄金比といったものが関連しています。フィボナッチ数列は「現在の数と1つ後ろの数を足した数を次の数にする」数列のことを言います。具体例を挙げると「011235813……」となります。

次に、黄金比ですが、これは芸術の分野で多く使われている比率だということは何となく知っている、という人もいるのではないでしょうか。

黄金比は「1:1.618」の比率のことを言います。優れた芸術作品だけでなく、自然界にもこの黄金比が隠れていると言われているのです。

「投資の相場と何の関係があるんだ!」と思っている方もいるでしょう。しかし、そもそも相場とは多くの人間の心理を映したものだと言ってよいのです。投資はそれぞれがベストだと思うタイミングで行動を起こします。

つまり、人間も元々は自然界のものであるから、自然界に隠れている黄金比が人間の心理を反映した相場に適用できるのではないか、ということなのです。

エリオット波動とダウ理論の違いとは

エリオット波動と似た理論に「ダウ理論」があります。理論の中身を見ても、違いがいまいちわからない場合もあるでしょう。エリオット波動とダウ理論が似ているのは、偶然ではないのです。

エリオット波動を考案したラルフ・ネルソン・エリオットはダウ理論から影響を受けているのです。ダウ理論について知ったエリオットは、その理論を今よりもテクニカルに説明しようと試みました。

つまり、エリオット波動はダウ理論をテクニカルに説明したものであると言えるのです。

エリオット波動の基本的な使い方を解説

この理論の基本的な使い方はN字の動きを観察することです。相場は大小はありますが、必ずN字の上下運動で変動しています。どのようなときに、どのようなN字の形になるのかを捉えることが基本と言えるのです。

N字で変動する相場がどのタイミングで反転するのかが重要になります。反転するときを見極めるのに、「フィボナッチ数列」が活用できるのです。これは、上述した「011235813……」数列のことです。

このフィボナッチ数列こそ、相場が反転する指標になります。

エリオット波動のインパルス波動

エリオット波動には波の種類があります。上述した上昇5波、下降3波です。この波のうち、5波の動きのことを「インパルス波動」と呼びます。

インパルスは日本語に直すと「推進的」という意味ですので、5波すなわち、インパルス波動はトレンドに従った値動きのことを意味します。

逆にトレンドとは逆行した値動きのことを「コレクティブ波動」と呼びます。

エリオット波動の波の数え方・精度の高いカウントのコツ

波をできるだけ正確にカウントするには、大きく観察する必要があります。日足チャートで大きな波の流れを把握しましょう。流れをある程度把握した後、時間足などの細かいチャートを見て波を数えます。

大きな波も小さな波も、根本的な数え方は変わりません。

エリオット波動のチャートパターンを見抜く方法

チャートパターンは大きく分けて2種類あります。1つはトレンド回帰型、もう1つはトレンド転換型のチャートパターンです。トレンド回帰型はエリオット波動の第2波と第4波で観察されることが多いです。

トレンドに沿った値動きから一時ストップした後、再びトレンド方向へ値動きすることを意味しています。しかし、これはあくまで傾向の話のため、トレンド回帰型の波が必ずトレンドに乗るとは限りません。

トレンド転換型は第3波、第5波で観察できます。トレンド転換型の波が出ると、高確率で反転すると言われています。つまり、これはトレンドが終わることを意味しており、そこから値動きが下降するということです。

エリオット波動の推進波と修正波(調整波)

エリオット波動には、2種類の波があります。上述した上昇5波と下降3波を2つに分類しただけですので、あまり難しく考える必要はありません。2種類の波は、それぞれ推進波と調整波に分かれています。

推進波はその名の通り、上昇する波のことを言います。調整波またの名を修正波と呼びますが、これは、推進波とは逆に下降していく波のことを指します。

つまり、エリオット波動は推進波と調整波の合計8つの波で1つのサイクルが形成されているのです。肝になるのは、波をどのようにしてカウントしていくかとなります。

エリオット波動のエクステンション・衝撃波の見分け方

トレンド方向に急上昇することが予想される推進波を衝撃波と呼びます。衝撃波をいち早く察知することで、大きな利益を狙うことができるのです。衝撃波はトレンド方向に急上昇する波のため、複数回のサイクルがあります。

今まで説明してきた推進波は、1サイクル(1~5波)だけでしたが、衝撃波は推進波と調整波の8つの波を繰り返して上昇するという特徴があります。

どのように観測するのかというと、1つの波をさらに5分割することになります。今まで解説してきた波は非常に大雑把であり、細かい部分まで分析することが困難です。その大雑把な波の1つを5分割することで、市場の値動きを厳密に予測しようということです。

実際の市場の値動きは教科書通りにN字の波を描くとは限りません。複雑な推進波のどれかがエクステンション(拡張しており)している可能性があるのです。

エリオット波動のABC調整のジグザグ

エリオット波動を調べていくと、ABC調整という言葉が頻繁に登場します。これは、まったく新しい概念ではありません。すでに、エリオット波動の基本的な知識を持っている方ならば、すぐに飲み込めるでしょう。

ABC調整とは下降3波のことを言います。このABC調整はツーレッグ調整とも呼ばれているので、覚えておきましょう。下降3波は逆N字を描きながら下降していきます。この3波を5-3-5のサイクルで表した波の形を「ABC調整のジグザグ」、といったりするのです。

どういうことかというと、エリオット波動の見方には長期足と短期足があります。長期足で見たときの波と短期足で見たときの波を重ね合わせているのです。つまり、長期的に見れば、下降の1波(A)は1つの波ですが、この波の中に小さい5つの波があることを意味しています。

そして、下降2波目(B)の中に3波があり、最後の下降3波目(C)に5つの波を観測する、ということになります。

エリオット波動のウェッジ(ダイアゴナル・トライアングル)

ウェッジ、またの名をダイアゴナル・トライアングルは、一般的に5波目が複雑な動きを見せながら収束していくことを指します。ダイアゴナル・トライアングルは最後の波で観測されることが多いため、転換の予兆と定義している場合もあるのです。

つまり、これをダイアゴナル・トライアングルを正確に観測できれば、その後の値動きも粗方予測できることになります。

エリオット波動のチャネリング・チャンネルラインの引き方

チャネルラインはエリオット波動の動きを予測するための目安となります。チャネルラインには3つの種類があり、それぞれ目的が異なります。そのため、理想はすべてのチャネルラインの引き方とその目的を把握しておくことです。

まず、1つ目は「0-2チャネルライン」です。引き方は0波すなわち、トレンドの始点から2波の終点に線を結びます。そして、引いた線と平行に1波の終点からもう1つ線を引きます。0-2チャネルラインの目的は、衝撃波とジグザグの修正波の予測です。

2つ目は「1-3チャネルライン」です。最初の線は1波の終点と3波の終点に交わります。そして、この線と平行に2波の終点から4波の終点を引きます。目的は4波(調整波)の予測です。

最後、3つ目は「2-4チャネルライン」です。1波と4波の終点を結び、この線と平行になるように1波の終点からもう一方の線を引きます。これは、推進の予測となります。つまり、5波の予測に使われる、ということです。

エリオット波動のトライアングルパターン

エリオット波動のトライアングルパターンとは4波のことを指します。基本的に、この4波が5波構成となっている波をトライアングルパターンと呼びます。この5波それぞれを3波で構成されたトライアングルパターンも存在します。

前者は大波5波、後者は小波3波です。トライアングルパターンの間は安値からの反発はあるけれど、高値の更新はしない、とされています。しかし、トライアングルパターンは4波で観測されるため、それが終了すれば5波が来ます。

つまり、トライアングルパターンが終わると、トレンド方向に上昇する可能性があるのです。

エリオット波動のフラットについて

フラットは、ABC調整が3-3-5の形になったサイクルを指します。

つまり、下降の1波目と2波目の中にそれぞれ小波が3つある、ということです。最後の下降(3波目あるいはC)で小波が5つ観測できます。

エリオット波動の計算サイト・アプリ

紙とペンでエリオット波動を計算しているのでは、効率が悪くなります。効率よく計算するために、サイトやアプリをフル活用しましょう。

Apple Storeには、「エリオット波動・フィボナッチ計算機」があるため、Appleの端末を持っている方はぜひ、チェックしてみてください。

また、エリオット波動を計算できるサイトもあるため、必要な人はチェックしてみることをおすすめします。

エリオット波動インジケーターの種類

為替取引に使われるMT4があります。MT4は、無料のインジゲーターをダウンロードして利用することができます。もちろん、エリオット波動の分析に使えるインジゲーターも利用することができるのです。

エリオット波動の主要なインジゲーターは2種類です。EWProとZig Zagです。前者は正確な分析をする際にはあまり機能しません。後者のZig Zagは大まかな波をカウントすることに利用できますが、これもまた、正確とは言えないのです。

Zig Zag

勿論、これらのツールを使うことは有用ですが、人間の目視で判断することが必要不可欠になることを覚えておきましょう。

「エリオット波動入門」がおすすめ!本を読んで勉強する

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エリオット波動理論は、投資の基本的な知識であるにもかかわらず、日本語の文献(インターネット上ではサイト)が少ないです。日本語で出版されているエリオット波動の本として、「エリオット波動入門」が有名です。

宮田直彦氏のエリオット波動レポートを参考にする

三菱UFJのモルガン・スタンレー証券のエリオット波動のレポートを参考にしてみましょう。モルガン・スタンレー証券で口座開設とオンライントレード契約をすることで、アナリストレポートで有名な宮田直彦氏のエリオット波動レポートを閲覧することができます。
https://www.sc.mufg.jp/market/report/index.html

また、契約しなくとも、簡単なサンプルレポートは閲覧することができます。エリオット波動をどのように分析すれば良いのか、プロの視点を参考にしましょう。

日経平均チャートのエリオット波動論を用いた分析方法

日経225ミニ先物のデータを参照してみます。2016年の12月以降のデータでは、数週間周期の波の形を見ると、ダイアゴナル・トライアングルであることが推測できます。

さらに、トランプショック後の日経平均の動きをみると、ダイアゴナル・トライアングルのD波が終了し、E波の始点であると推測できる点があります。

つまり、この推測が正しければ、次にE波すなわち、推進波を描くということになるのです。

FXではエリオット波動は使えない手法って本当?

「FXではエリオット波動を適用できない」という意見もありますが、ポイントさえ押さえれば、FXであってもエリオット波動を活用することが可能でしょう。しかし、それには、エリオット波動のあらゆる波のパターンとその特徴を理解している必要があります。

また、エリオット波動は長期足よりも、短期足で威力を発揮する、という点があります。

エリオット波動が活躍する短期足

エントリーポイントを逃してしまうと、次に同じ形の波が現れるまでに、およそ1週間程度掛かります。利益を上げられるポイントですかさずエントリーすることが大切になってくるでしょう。

エリオット波動が活躍するポイントは2つです。トレンド方向に上昇した瞬間と、トレンド方向に上昇した直後になります。最初の推進波の段階でエントリーするか、それに間に合わなかった場合は、その後にエントリーするか、ということです。

3波目はトレンド方向に急上昇すると上述しました。その点を踏まえて、いつエントリーするかを考えてみましょう。

エリオット波動を簡単に活用する3原則

3つの原則を知っていれば、エリオット波動を活用することが容易になります。

  • 第1原則は「3波目が他の推進波の中で一番短くなることはない」
  • 第2原則は「2波目が1波目のスタートした地点を下回ることはない」
  • 最後の第3原則は「4波目が1波目の高値を割り込むことはない」

ということです。

エリオット波動の第1波の特徴・見分け方

エリオット波動の第1波はトレンド方向に上昇するサインとなります。しかし、どこから第1波が始まるのかわからない、という人もいるでしょう。

第1波を見分ける簡単なサインは「以前の高値を更新したか否か」です。以前の高値を更新している場合は、下降のC波が終了し、8サイクルが終了していることが考えられます。

エリオット波動の第2波の特徴

第1波に続く第2波は下降していきます。しかし、注意しなければならないのが、「第1波の始点まで下降することはない」ということです。そして、3波構成となることにも実際に注目してみましょう。

エリオット波動の第3波の特徴

推進3波目(サードオブサード)は、他4つの波よりもトレンド方向に急上昇する、という特徴があります。急激に上昇が始まるため、多くの方はそれについていくことが難しくなります。この第3波は稼ぎ時になるため、きちんと押さえておくことが大切です。

5波の中で最も分かりやすいのが第3波のため、初心者の方はこの3波を狙って利益を上げることが肝要と言えます。

エリオット波動の第4波の特徴

第2波と同様の調整波となるのが、第4波です。第2波と同様に3波構成となりますが、第2波と同じ形にはなりません。また、第1波の終点まで下降することはない、とされているのも大きな特徴の1つです。

エリオット波動の第5波の特徴

第5波は第1波と同じ長さになることが特徴です。また、第5波ではダイアゴナル・トライアングルが観測される可能性があります。第3波が第1波の2倍の上昇を見せたとき、第5波は4波の2倍上昇するとされています。

他の波との関係で第5波がどのように上昇していくのかを見極めることが大切です。

エリオット波動を用いたトレード初心者もわかりやすい使い方

基本的にトレンド方向に急上昇する第3波を狙います。第2波が終われば必然的に第3波がやってきます。つまり、ベストなタイミングとしては第2波の調整波が底をつけ、第3波が上昇し始めたときにエントリーすることになるのです。

エリオット波動のエントリーポイント

重要なことは、底または天井を付けた直後にエントリーしない、ということです。底は下降しきった点、天井は上昇しきった点となります。次の波が上昇するのか、下降するのかわかりません。

理論では上昇した後、下降することになっていますが、実際の相場は理論通り動くかわからないのです。つまり、上昇(または下降)したと判明した時点からエントリーするのが良い、ということになるのです。

上昇することが「判明」してからエントリーする、という点がポイントとなります。つまり、調整波の終点では、まだエントリーしないということです。あくまで、目視で推進波が観測できたらエントリーする、ということになります。

エリオット波動を用いた空売り手法

エリオット波動を利用して空売りをするには、調整波を観察する必要があります。エリオット波動は上昇5波、下降3波の8つの波で1サイクルになっています。

つまり、この理論通りに言えば、1サイクルが終わるC波を狙うのが、空売りにおいては有効だということです。

エリオット波動のスキャルピング手法

短期的に売買を繰り返すスキャルピング手法をとる際にも、エリオット波動理論を活用することができます。注目するポイントは高値(または安値)が反発する可能性があるか否かです。推進5波まで観測できた場合、これから下がることが考えられます。

また、下降C波を観測できた場合はこれからトレンド方向に上昇する可能性があるのです。

そして、今現在の安値が過去にも観測できたかを確認してみましょう。過去に同じような安値を記録して上昇、を繰り返している場合、今現在観測している安値から上昇する可能性があるのです。

エリオット波動を用いた今後の予測例

2018年1月にビットコインが大暴落したことが各所で報じられました。ビットコインの暴落は、今年だけ特別なわけではありません。ビットコインは毎年1月に下降する傾向があるのです。つまり、1月に大暴落したということは、それが下降C波の終点付近である、とも解釈できるのです。

エリオット波動理論では、上昇5波、下降3波ですから、この通りにいけば、次は上昇する、という予測が建てられるでしょう。

そして、もしこの予測があっていたとしたら、3波目でトレンド方向に急上昇する可能性があるのです。

エリオット波動理論と相性の良いグランビルの法則

エリオット波動理論はグランビルの法則と相性が良い、とされています。なぜ両者の相性が良いとされているのかを、ここで簡単に解説します。

エリオット波動では明確な取引サインがありません。どうしても、最終的にはその人の経験値が必要になります。つまり、エリオット波動のみでは経験値の少ない初心者が失敗するリスクが大きいのです。

しかし、取引サインが明確なグランビルの法則を適用することで、エリオット波動が抱える上記のリスクを軽減することができるのです。グランビルの法則には移動平均線とのクロス、という明確な取引サインが存在します。

グランビルの法則を適用することで、エリオット波動が抱える「取引サインが明確でない」というリスクを補うことができるのです。

エリオット波動を活用して損切りを少なくする方法

エリオット波動はトレンドの中盤で取引をすることが多くなります。これは、トレンドが始まった瞬間に取引を行うことに比べて損切りするリスクがあることを意味しているのです。

損切りを少なくするためには、エリオット波動をしっかりと見極める必要があります。正確に見極めるにはそれなりの練習が必要であることを覚えておきましょう。

まとめ

エリオット波動を活用する上で、関連しているのが、フィボナッチ数列と黄金比です。これらは、自然界の中に潜んでいる法則のため、「関係ないんじゃないの」と思う方もいるでしょう。

しかし、相場は人間が動かしています。多くの人間の判断が相場の値動きに反映されているのです。元をたどれば人間は自然界の生き物です。つまり、人間も自然界の一部ならば、そこに自然界の法則を適用すればよいのではないか、という非常に単純明快な考え方になります。

初心者のうちに、エリオット波動のパターンを正確に見分けることは困難だと言って良いでしょう。しかし、エリオット波動は株やFXなどの幅広い金融商品に適用する理論です。基本的な知識として習得しておくことに損はない、と言えます。

投資によって利益を上げたい、という方は、しっかりと勉強することをお勧めします。