ROE(自己資本利益率)の目安って実際どれくらい?計算式まで初心者向けにやさしく解説

投資をするのであれば絶対に知っておきたいROE(Return on Equity)は、日本語で自己資本利益率と呼ばれ、企業の自己資本(株主資本)に対する当期純利益の割合を示す指標です。

ROEは当期純利益を自己資本で割ることによって算出できるところまでは知っている人も多いですが、ROEを活用してどのように投資判断を行うかまで知っている人は多くありません。

そこでこの記事では、ROEを活用する方法を一から解説していきます。この記事を読めば、ROEをどのように活用したら良いかがわかります。

この記事を書いた人
株式会社ジャパンインベストメントスクール 株式投資コンサルタント ファイナンシャルプランナー
児玉一希
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ROE 目安とは?ROEの基礎知識

まずはROEの基礎知識について説明していきましょう。

ROEの意味とは

ROEとは、Return on Equityの略称で、日本語では「自己資本利益率」と呼ばれます。会計学では、自己資本とはすなわり株主資本であることから、株主資本利益率と呼ばれることもあります。

ROEは、株主の持分である株主資本がどの程度利益に結びついているのかを示す、総合的な財務指標です。昨今では投資対象を決める際に、海外投資家や国内の公的機関などがROEに着目して投資を行っています。

特に、米国においては、企業の収益性判断に、ROEが広く活用されており、株式投資の重要な指標の一つとして用いられています。近年では、日本においても投資判断基準として重要視されるようになりました。

ROEから分かること

ROEは「その株式銘柄に投資するとどれだけ効率よく利益を得られるか」を示す指標です。株主から見た収益性の指標であると言われます。ROEをみれば、企業の株式銘柄に対する投資と過去の剰余金の合計額である自己資本を、企業がどれだけ効率的に活用しているかを判断することができます。

ROEが高いほど自己資本を効率的に活用していることがわかり、収益力が高い企業であると判断することができます。そのため、市場金利より高いROEを示す企業は,投資家にとって好ましい投資対象となります。

逆に、自己資本利益率が低い会社は「経営効率の悪い会社」である判断され、投資家からのお金も集まりにくくなります。

ROEの算出方法

ROEは以下の算出方法によって計算することができます。

ROE(%)=当期純利益÷(純資産-新株予約権-少数株主持分)×100

この計算式にもとづき、例えば、投資家から集めたお金が1億円で、その出資金をもとに年間で1,000万円の利益を出した場合、ROEは10%と計算することができます。ROEが高いほど、株主から集めた資本金を効率的に活用していると判断可能です。

ROEの問題点

ROE は企業の資本効率性を測る指標として有用ではあるものの、そもそも変動が大きい点、さらに、利益が増えていなくても数値が向上することもある指標です。したがって、ROEだけをみて経営効率を判断することは危険です。

あくまでも、企業がROEの向上の目的とする理由は、数値目標の達成にあるのではなく、中長期的な視点に基づいた企業価値の向上と持続的な成長を実現することに置かれるべきであると考えられます。

ROEを重視しすぎてしまうと、株主にとっての利益にばかり目を奪われてしまい、短期主義的な行動傾向を生み出してしまうこともあります。

ROEの目安とは?

それでは、ROEはどれくらいあれば良いのでしょうか?この節では、求められるROEの水準について解説していきましょう。

ROEの目安:国や業種によって異なる?

ROEの水準は国や業種によって異なります。特に、日本企業はROEの水準が諸外国に比べて低いことが長年問題視されてきました。その結果、2014年に通称「伊藤レポート」が公表され、そのレポートの中でROE8%を目指すべきであることが明記されています。ヨーロッパの企業では、ROEはおよそ13%程度であり、アメリカの企業では15%程度あることが普通です。

ROEが低い企業は投資家から投資を受けられなくなり、長期的にみるとパフォーマンスが悪くなる可能性があります。

また、一口にROEと言っても、国や業種によって目指すべきROEの水準は全く異なります。アメリカの一流の投資家・経営者として著名なウォーレン・バフェットは、投資目安としてROE15%という数字を挙げていますし、国際的に営業を行っている上場企業もROE15%以上を目標として掲げていますが、業界によってはその水準を目指すことが難しい企業もあるでしょう。

たとえば、昨今の出版不況のあおりを受けている出版業界では、ROE8%を達成するのは非常に困難ですが、IT企業などではROE8%を超える企業も少なくありません。

ROEの目安:日本企業の目安

上場している日本企業が目指すべきROEの水準は8%程度であると言われています。諸外国ではROEの水準が8%というのは決して高い数字ではありません。ヨーロッパやアメリカの企業においては、ROEが15%を超える企業も少なくないので、いかに日本企業のROEが低いかわかるのではないでしょうか。

ROEの目安:海外企業の目安

ROEが高いほど株主から集めた資本金を効率的に活用していると判断することができるため、アメリカの一流の投資家・経営者として著名なウォーレン・バフェットは、投資目安としてROE15%という数字を掲げています。

このように、諸外国においては、ROEが10%を超えることは決して珍しいことではありません。日本の企業と海外の企業のROEを単純に比較することはできないので、同じROEの水準でないからと言って、日本の企業が劣っているかというとそういうわけではありません。

まずは同じ業界に属する企業同士で比較を行い、その後、同じ国で活動する企業のROEの水準を比べてみると良いでしょう。

業種別や株式市場のROEとは

それでは、具体的に業種別のROE平均、株式市場のROEランキングを紹介していきましょう。

業種別のROE平均値とは

経済産業省が発表している『平成30年企業活動基本調査速報-平成29年度実績-』をみれば、簡単に業種別のROE平均値を確認することができます。業界別に分類されているので、ROE平均値を業界別に知りたいときに便利です。

この表をみると、日本における企業のROEは平均9.4%であり、昨年度よりも1.8%も改善していることがわかります。昨年度と比べて、1.8%もROEが高くなっているということは、昨年度よりも企業が株主資本を効率的に運用できたことを意味しています。

(2018年)株式市場 ROEランキング

2018年の株式市場におけるROEのランキングを紹介していきましょう。ROEは経営者が株主に対して果たすべき責務を表した指標です。 ROEが高い水準で推移している銘柄は、会社の収益性や成長性も有望であると判断することができますし、株主への利益還元も期待することができます。

株式市場のROEは、各証券会社が提供している取引ツールで確認することも可能です。大手の証券会社であれば、どんな取引ツールを使っている場合でも、ROEランキングを表示することが可能です。

実践!ROEと合わせて確認したい指標の目安まとめ

ROEは確かに企業の経営効率を判断するために有用ですが、ROEだけで投資判断をしてはいけません。必ず他の指標と合わせて判断するようにします。

以下では、ROEと合わせて確認したい指標について説明していきましょう。

実践!ROEと合わせて確認したい指標の目安: ROA

ROEの問題点を補う指標としてはROA(総資産利益率)があります。ROEは当期純利益を株主資本で割ることによって算出されますが、ROAは、当期純利益を総資産(負債+純資産)で割ることによって算出されます。

ROEでは株主資本を使用するので負債を考慮しませんでしたが、ROAでは負債も考慮して結果を算出することが可能です。ROEが高い一方でROAが低い会社は、会社の運転資金のうち負債(銀行からの借り入れ)の締める割合が大きいことを意味するので、支払利息等の負担が大きくなる可能性があると判断することができます。なお、ROAの目安としては5%とするのが一般的です。

実践!ROEと合わせて確認したい指標の目安:PERとPBR

PBRは株価が1株当たりの純資産の何倍になっているかを表したもので、PERは株価が1株当たりの利益の何倍になっているのかを表したものです。PERとROEを掛けるとPBRを計算することができます。つまり、PER×ROE=PBRとなります。

この等式を様々に変形することで、ROE、PER、PBRの様々な関係性をあらわすことが可能です。たとえば、ROEが高くなるとPERが低くなるのは、PERが低くなるからです。

このような状態となれば、株価の上昇を期待することができます。

実践!ROEと合わせて確認したい指標の目安:ROIC

ROEと合わせてよく用いられる指標はROICです。ROICは、ROICは純資産(株主資本)と有利子負債(借入金など)を含めて、どれくらいの利益を生み出したかを測る指標であるため、負債によるレバレッジをかけることを含めて投資判断をすることができます。

一方、ROEは、純資産(株主資本)を使ってどれくらい利益を生み出したのかを測定する指標であるため、負債の有無を考慮していません。そのため、ROEと合わせてROICを確認しておけば、負債の金利支払いリスクまで考慮して投資判断ができるのです。

ROICの目安としては、10%を超えれば優良な企業と判断することができます。

ROE 目安の関連用語とは

最後に、ROEと関連する用語について解説しておきましょう。

ROE 目安の関連用語①「ROA(総資産利益率) 」

ROA(総資産利益率:Return On Assets)とは、総資産に対してどれだけの利益が生み出されたのかを示す指標です。ROAはすべての資本をいかに効率的に運用できているかを表す情報となっています。

ROAは当期純利益を総資産で割ることによって算出されます。ROAを見れば、企業が総資産をいかにうまく使って利益を生み出しているかが分かります。ROAが高いほど、効率的に利益を生み出せている会社であると言えます。

ROE 目安の関連用語②「PER(株価収益率)」

PER(株価収益率:Price Earnings Ratio)とは、業績面からみた株価の割安度を測る指標です。PERは現在の株価が利益の何倍か(何年分に相当するか)という尺度による評価であり、高ければ高いほど株価は割高、低ければ低いほど割安ということになります。

PERは、時価総額÷純利益で算出することが可能です。この算式にもとづいて計算すると、株価は投資金額、純利益を予想1株利益(EPS)を1年間で得られる利益とすれば、投資金額を何年で回収できるかを示すことができ、「PERが低いほど割安(回収期間が短い)、高いほど割高(回収期間が長い)」と判断することができます。

ROE 目安の関連用語③「PBR(株価純資産倍率)」

PBR(株価純資産倍率:Price Book-value Ratio)とは、市場が評価した値段(時価総額)が、会計上の解散価値である純資産(株主資本)の何倍であるかを表す指標です。PBRは株価を1株あたりの純資産で割ることによって算出します。

1株あたりの純資産は、純資産を発行済株式数で算出することが可能です。PBRの倍率が高い(数値が大きい)ほど企業の持つ純資産に比べて株価が割高、低い(小さい)ほど企業の持つ純資産に比べて株価が割安と判断することができます。

ROE 目安の関連用語④「ROIC(投資利益率)」

ROIC(投資利益率:Return On Invested Capital)とは、企業が事業活動のための投下した資本から、どれくらいの利益を生み出したかを測る指標です。

税引き後の営業利益を自己資本と、銀行からの借り入れなどの有利子負債の合計額で割って算出する方法が一般的ですが、必ずしもこの算定式によって求められているわけではありません。企業によって様々な算出方法があります。

ROICを使えば、企業が投じた資本でどれくらいの利益を生み出したかという投資効率を把握することが可能です。

まとめ

ROEは、株主の視点からみたときの経営効率をあらわす代表的な指標です。この指標を活用すれば、株主資本に対してどれだけその企業が効率的に経営を行っているかがわかります。

ROEを活用するときには、それぞれの業界内における平均値を参考にすることが大切です。業界内における平均値よりも高ければ、その分効率的に経営を行っていると判断することができます。ROEは経営効率を判断するための有用な指標ですが、それだけで経営効率を判断することは危険です。

ROEを重視した経営は、短期主義的な行動を取りがちになるという傾向があることから、会計不正などを引き起こしやすくなります。そのため、ROEを活用するためには、その他の指標であるROA、ROICといった指標を合わせて判断することが大切です。