老後生活費はいくら必要?実態から見る老後資金の準備方法とシミュレーション

突然ですが、あなたは老後の生活費がどれくらいかかるかしっかりと把握していますか?

実は老後も何かとお金がかかるもので、なんとなくで老後費用を貯めているのでは生活費が足りなくなってしまうかも…

そのため、今から老後の生活費をちゃんとシミュレーションしておくことが大切。今回はそうした「老後生活費」について、詳しく解説してまいります。

さらには現役世代の今からできる資産運用もご紹介するので、現実的な生活費を見据えたうえで、確実に必要な金額を用意できるようにしておきましょう!

この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。

老後にかかる一般的な生活費

まず始めに、老後にかかる一般的な生活費はどれくらい必要なのかについて見ていきましょう。ここでは、「生命保険文化センター」が行った意識調査による平均額を基に解説していきます。

夫婦世帯は月約22万円 単身世帯は月約16万円は必要

生命保険文化センターの意識調査によれば、老後の一般的な生活費として夫婦世帯は「月22万円」、単身世帯は「月16万円」ほど必要とのことでした。

特に、夫婦世帯の具体的な生活費の調査結果については以下のようになったようです。

  • 15万円未満:5.9%
  • 15~20万円未満:13.1%
  • 20~25万円未満:31.5%
  • 25~30万円未満:13.6%
  • 30~40万円未満:15.0%
  • 40万円以上:2.4%
  • 不明:18.6%

中には15万円未満に切り詰めていたり、40万円以上使っている世帯もあるようですが、多くは20万円前後で暮らしているということが分かりますね。

ゆとりある老後生活を送るなら月34.9万円は必要

あくまで先ほど挙げた数字は、最低限の生活を送るために必要な金額。もしも、ゆとりある老後生活を送りたい場合にはより多くのお金が必要となるようで、その目安としては夫婦世帯で「月34.9万円」とされています。

ゆとりある生活費についての、詳しい調査結果についても以下に記載いたします。

  • 20万円未満:3.3%
  • 20~25万円未満:7.5%
  • 25~30万円未満:12.3%
  • 30~35万円未満:21.8%
  • 35~40万円未満:9.0%
  • 40~45万円未満:11.0%
  • 45~50万円未満:3.1%
  • 50万円以上:13.5%
  • 不明:18.6%

こちらでは30万円以上が多くを占めていますね。

では最低生活費に加え、ゆとりある老後生活ではどのような使途にお金を使うことが多いのでしょうか。

代表的なものを挙げてみました。

  • 旅行・レジャー
  • 家族・友人などとの人付き合い
  • 趣味・教養
  • 日常生活費の充実

もちろん現役世代の時もこうした使途にお金は使いますが、老後になると働いていた時とは比べ物にならないほど時間があるため、より多くのお金が必要となるようですね。

自身の老後に必要な生活費・資金を計算する

一般的な老後の生活費が分かったところで、自分が必要なお金についても実際にシミュレーションをしてみましょう。
その手順としては、以下のように行っていきます。

1.老後の生活するのにかかる費用を計算する

2.見落としがちな費用も忘れずに計算する

3.貰えるお金を計算する

4.出した金額で計算する

1.老後の生活をするのにかかる費用を計算する

まずは、老後の生活をするのにかかる費用を計算してみましょう。総務省が調査した、平均的な支出の内訳については以下のようになります。

各家庭によって細かな数値に差はあるかと思われますが、参考としてみてください。

夫婦世帯 単身世帯
食費 64,444円 35,418円
住居費 14,444円 14,538円
水道・光熱費 19,267円 12,989円
家具・家事費 9,405円 6,098円
服飾費 6,497円 3,808円
医療・保険費 15,512円 7,936円
交通・通信費 27,576円 13,148円
教育・教養娯楽費 25,092円 16,852円
税金・社会保険料 28,240円 12,544円
雑費 54,028円 31,412円

以上のように、老後の生活でも何かとお金がかかることがわかりますね。
ただし、子どもの教育費はかからないことで現役時代よりは支出は少なく抑えられる傾向にあります。

ここから自分自身についても実際の老後生活を想定し、必要な費用を書き出しておきましょう。

2.見落としがちな費用も忘れずに計算する

先ほど挙げたものに加え、以下のように見落としがちな費用もあります。

  • 住居費(賃貸の場合)
  • 住宅のリフォーム・修繕費用(持ち家の場合)
  • 万が一の医療費

これらも忘れずに計算しておきましょう。

住居が賃貸の場合はプラスで見積もっておく

老後はどこに住むかにより、生活費は大きく変わってきます。持ち家であれば、多くの場合は住宅ローンの返済もほとんど済んでいるでしょうから、住居費があまり生活費に影響しません。

しかし老後も、アパートなど賃貸物件に住むと思われる場合は、月々の家賃がかかりますのでプラスで3~5万円は見積もっておくのが良いでしょう。

住宅のリフォーム・修繕費用

たとえ家賃のかからない持ち家であっても、住宅は時間とともに老朽化してくるものです。おそらく長く住んでいれば、生きている間に一度はリフォームや修繕が必要となることでしょう。

その費用としては一般的に、戸建てなら500万円程度、マンションなら300万円程度とされています。

このようになかなかの高額ですので、計画的にこうした費用も積立てておきたいところですね。

大病にかかってしまった際の医療費

老後で不意にかかってしまう思わぬ出費で多いのが、病気による高額の医療費です。ただでさえ高齢になれば免疫も落ち、病気やケガになりやすいもの。

万が一大病にかかった場合は公的保険だけでは対応しきれず、医療費がかさむと貯蓄が一気に無くなってしまうリスクも。そのため民間保険も併用することを想定しておき、月々の出費を考えるのも必要です。

3.貰えるお金を計算する

これまで支出の面を見てきましたが、老後にも以下のように貰えるお金もあります。

  • 公的年金
  • 退職金

ではこうした収入がどれくらい入ってくるかについても、計算してみましょう。

公的年金

老後もらえる公的年金としては、「国民年金」と「厚生年金」があります。
それぞれについて見ていきましょう。

国民年金 厚生年金
加入者 20歳~60歳の国民全員 会社員・自営業者など
年額 最高額:780,100円
平均額:660,000円
最高額:※収入によって異なる
平均額:1,764,000‬円
支給開始年齢 原則65歳から 原則65歳から

※厚生年金の詳しい計算方法については、【(厚生年金期間 毎月の給料平均+ボーナスの平均)÷12×5.481÷1000×加入月数】となります。

専業主婦やパートであることが多いため、一般的に女性の方が支給される年金額は少ない傾向にあるようですね。

退職金

公的年金に加え、「退職金」も老後の大きな資金源。
勤めていた企業の規模や学歴によっても支給額が変わってきますので、以下の表で確認してみましょう。

1,000人以上 999~300人 299~100人 99~30人
大学卒
(管理・事務・技術職)
2,525万円 2,074万円 1,635万円 2,343万円
高校卒
(管理・事務・技術職)
2,286万円 1,978万円 1,447万円 1,713万円

退職金の額によって老後のマネープランも大きく影響しますので、勤務先の退職金規定を確認するなど、自身の退職金を早めに把握しておくようにしたいですね。

4.出した金額で計算する

では出してきた金額を基に、実際に自分がどれくらいの老後資金が必要なのか、計算を行ってみましょう。ここでは、60歳から90歳まで生きると想定した場合の計算式をご紹介します。

1.生活費を60歳から90歳まで生きると想定し計算する
計算式:【想定生活費×12ヵ月×30年】

2.65歳から受給される想定年金(25年分)を計算する
計算式:【想定年金×12ヵ月×25年】

3.想定生活費から想定年金とその他の収入(個人年金や退職金など)を差し引く
計算式:【(想定生活費+そのほか費用(医療費や住宅修繕費など))-(想定年金+その他の収入)=老後に必要な資金(生活費)】

いかがでしたでしょうか?

思っていたよりも多くのお金が必要だった、と驚いた方もいらっしゃるかもしれませんね。

老後の生活費を増やすには

少しでもゆとりある老後にするために、生活費はどのように増やせばよいでしょうか。現役世代の今からできる方法について、これからいくつかご紹介いたします。

  • 税制面で優遇のある「iDeCo」
  • 運用するなら非課税枠のある「NISA」
  • 計画的な資産形成に役立つ「財形貯蓄」
  • 少額から分散して投資できる「投資信託」
  • 現役で働き続ける
  • 年金を繰り下げ受給する

税制面で優遇のある「iDeCo」

公的年金に加えておすすめなのが、確定拠出型年金「iDeCo」。

iDeCoは税制面で優遇のあることが特徴で、掛金が所得控除の対象となり、運用益が非課税になることも。さらにはiDeCoに加入していれば、住民税も支払いが安くなりますよ。

安全性が高いのもメリットで、たとえ運用元が倒産しても預けた資産は保証されているという強みがあります。

運用するなら非課税枠のある「NISA」

資産運用の代表とも言えるのが株式投資ですが、せっかく運用するなら少額投資非課税制度「NISA」を活用しましょう。

通常、投資信託の売却益や配当益には約20%の税金がかかるのですが、このNISAは非課税なのでかからず、うまく活用すれば非常にお得な思いをすることができます。

NISAにも「NISA」と「つみたてNISA」といった種類があるのですが、初心者には「つみたてNISA」が投資しやすいのでおすすめです。

計画的な資産形成に役立つ「財形貯蓄」

毎月の給与やボーナスから、天引きする形で積み立てるタイプの貯蓄が「財形貯蓄」。

一般財形、住宅財形、年金財形の3種類があり、勤め先の財形制度によって利用できる種類が異なってきます。

住宅財形と年金財形であれば、合わせて550万円までの非課税制度を利用することもできるので、積極的に使っていきたいところですね。

少額から分散して投資できる「投資信託」

”投資には興味があるけど、難しそうで失敗したら怖い…”と考える方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこでおすすめなのが「投資信託」。投資信託は自分で運用するのではなく、プロの専門家に任せて運用する方法なので、あまり投資の知識がない初心者でも問題なく始めることができます。

さらには1,000円程度の少額から、国内海外問わずさまざまな商品に分散して投資できるのが魅力。

老後資金を運用するならば、できるだけ幅広く分散されてリスクの低い「バランスファンド」を選ぶのが好ましいでしょう。

現役で働き続ける

老後も、現役で働き続けるというのも一つの手段です。最近は「再雇用」という形で、定年まで勤めていた会社で再び働き続ける人も多くいるよう。

また金銭面的な事だけではなく、働くことで社会とのつながりができ身体的、精神的健康を維持できる可能性があるので、ベストな環境で働くことができれば一石二鳥となりますね。

年金を繰り下げ受給する

65歳で年金を受給せず、さらに先まで繰り下げて受給する方法もあります。

このように年金の繰り下げ受給をすると、年8.4%年金額が増えることとなり、例えば65歳から70歳まで年金を繰り下げたとすれば、最大42%も年金額が増えることに。

特に平均寿命の長い女性には有利な方法と言えるので、こうした制度もうまく活用していきましょう。

まとめ

今回は老後の生活費について解説してまいりました。

最低生活費だけでもなかなかの金額が必要で、さらにはゆとりある老後生活を送ろうと思えば月に35万円近い費用がかかるというのに驚いた方も多いかもしれません。

そうした費用を捻出するためには、老後に貰える年金や退職金に頼るだけでなく、今から資産運用しておくことも大切。

計画的に行い、老後の生活費を今から少しずつ増やしていけると良いですね。