消費者物価指数とは?プロが教えるかんたんでわかりやすい用語解説!

株式投資を行う際にはさまざまな指標やデータを参考にしながら株価の動きを見極め、適切なタイミングで売買することが大切です。

株価の動きにも影響を与える可能性が高い指標として参考にしたいのが、毎月総務省が公表している消費者物価指数で、ニュースや新聞などでもよく見かける指標だと思います。

この記事では、消費者物価指数とは具体的に何を示す指標なのか、株価とどのような関わりがあるのかなどをわかりやすく紹介します。

消費者物価指数は株式投資で参考になる指標の一つなので、知識を深めて株式投資にお役立てください。

この記事を書いた人
ファイナンシャルプランナー
児玉一希
プロフィール・所持資格 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が定めている、ファイナンシャルプランナー技能士の資格を有し、当サイトの監修活動を始め、相場情報のまとめやコラムを寄稿する活動なども行なっている。

消費者物価指数とは

「○月の消費者物価指数は先月より○%上昇しました」などとニュースや新聞などで報道されているのを聞いたことがあるけど、そもそも消費者物価指数とは何だろう?と疑問を感じている方も多いです。

まずは、消費者物価指数とは何を示している数値なのか確認してみましょう。

総務省が発表する物価の動きが分かる指標のこと

消費者物価指数とは総務省が毎月発表している指標であり、CPI(Consumer Price Index)とも呼ばれています。

消費者物価指数は、全国の世帯が購入する家計に係る財及びサービスの価格等を総合した物価の変動を時系列的に測定するもの

引用元:総務省統計局

私たちが日常生活において購入しているさまざまな商品は必ず一定とは限らず、高くなったり安くなったりと価格が変わるものです。

経済が上向きになると消費者の収入もアップし、購買意欲も高くなって需要が高まり、商品の平均価格も上がってインフレ傾向になり、消費者物価指数も上がってきます。

逆に、経済が落ち込むと消費者の収入も少なくなり買い控えする人も多くなるため、多くの人に買ってもらえるように商品価格の値下げに踏み切りデフレ傾向になり、消費者物価指数も下がってきます。

つまり、消費者物価指数の変化を見ることで、物価の変動や現在の経済状況はどうなのかを判断して政策にも活用できることから、消費者物価指数は別名・経済の体温計とも呼ばれています。

基準時を定め指数を算出する

消費者物価指数の算出方法は、基準になる年の物価を100とし、その時によって変わる物価を比較計算します。

基準となる年は5年ごとに改定されており、直近では2015年(平成27年)が基準年になっています。

消費者物価指数が利用される場面

消費者物価指数はさまざまな場面で活用されています。ここでは3つの具体例を紹介します。

経済指標を実質化するためのデフレーターとして利用

消費者物価指数は、物価傾向や家計の収支や賃金など経済指標に実質化するためのデフレーターに利用されています。

デフレーターとは、名目値(額面通りの金額)における実質値(物価が変動した影響を除いた金額)の動きを用いるための指標です。

経済対策や金融政策への利用

消費者物価指数は、国や地方自治体が取り決める経済施策や金融政策の判断材料の一つとして活用されています。

国や地方自治体が安定した経済状況を維持するためには、消費者物価を安定させることが必要不可欠であることから、消費者物価指数は重要視されています。

年金などの給付水準など

公的年金(国民年金、厚生年金など)の給付水準は、物価の変動に応じて改定されていますが、改定基準の一つとして参考にされているのが消費者物価指数の変化率です。

消費者物価指数は実際に消費者が買い物をした商品の変動を示しているので参考にしやすい指標になります。

消費者物価指数の種類

消費者物価指数はいくつか種類があるので、それぞれの違いについて確認してみましょう。

全国と東京都区部の2種類がある

消費者物価指数は全国と東京都区部の2種類があります。

全国消費者物価指数が公表されるのは1ヶ月後(1月分は2月中旬頃公表)ですが、東京都区部消費者物価指数は中旬速報値として当月分が公表されています。

総合指数の他に3種類ある

消費者物価指数は500品目以上にも及ぶすべての商品を総合した総合指数の他に、品目によって集計される指数もあります。

生鮮食料品を除く総合指数

私たちが購入する商品の中で、天候などの外的要因によって価格が変わりやすいのが生鮮食料品です。

生鮮食料品は、天候不順により不作で品薄になると値上がりしたり、供給が飽和状態になると値下がりしやすい品物が多いため、これらの品目を除いて算出される総合指数として「生鮮食料品を除く総合指数(コアCPI)」が存在しています。

食料及びエネルギーを除く総合指数

日本は海外から輸入している品目も多く、日常生活に欠かせない役割を担っている場合が多いです。

とくに原油などのエネルギー源は輸入に頼らざるを得ないものですが、輸入国の状況や自然災害などの影響によっては価格変動が起こりやすいものです。

食料についても酒類以外は天候などの影響で価格が変わりやすいことから、「食料及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)」の指標も集計されます。

持ち家の帰属家賃を除いた総合指数

商品を購入するのと同様に、賃貸物件に住んでいる場合は家賃を支払いますが、持ち家の場合は家賃という形では発生しません。

持ち家の場合は、第三者に貸した場合にいくら家賃を取れるのかを予想して算出しますが、これを持ち家の帰属家賃と言います。

総合指数には予想して算出された持ち家の帰属家賃が含まれて物価全体にも影響を与えるため、「持ち家の帰属家賃を除く総合指数」の指標も集計されています。

消費者物価指数の計算方法

消費者物価指数は、基準時の価格を100とし、比較時の価格を比率で示すラスパイレス算式で計算されます。

  • 消費者物価指数 = 比較時の価格 ÷ 基準時の価格 × 100

たとえば、2015年の1年間に消費者が購入した商品を月平均にして30万円かかったと仮定し、この数値を100にします。

2018年に同じものを購入すると月平均31万円だった場合、2015年と比較すると

  • 310,000 ÷ 300,000 ×100=103.3・・・

になるので、2018年の消費者物価指数は103.3、基準年の2015年より物価上昇率3.3%という結果になります。

消費者物価指数と株価の関わり

消費者物価指数は私たちの生活水準を把握するうえで重要な数値ですが、実は株価との関連性も高いです。

具体的に消費者物価指数と株価はどんな関わりがあるのか確認してみましょう。

直接的な連動性はない

株価は国内・海外のさまざまな情勢によって影響を受けて日々変動しているので、毎月公表される消費者物価指数への直接的な連動性はありません

そのため、消費者物価指数が下がると株価も下がる、消費者物価指数が上がると株価が上がるという現象は基本的に起こらないと考えられます。

消費者物価指数と株価は間接的なつながりがある

消費者物価指数と株価は直接的な連動性はないものの、間接的には影響を与えるものなので全く無視できる数値ではありません。

たとえば、毎月公表される消費者物価指数を参考にした企業が急成長を遂げると株価が上がる可能性もあります。

また、消費者物価指数が上がってインフレになると、以下のように株価に影響を与えることもあります。

  1. 消費者物価指数が上がる
  2. インフレ傾向で物価が上がる
  3. お金の価値が下がる
  4. モノとお金の価値のバランスをとるために金融政策(金利引き上げ)を行う
  5. 金利が上がったのでお金に投資する人が増える
  6. レート(相場、割合、一定の率に基づいた料金)の上昇に繋がる
  7. 株価が上がる可能性がある

このように消費者物価指数が上がってインフレになると株価が上がる可能性もありますが、ひどいインフレになると逆に株価下落につながる場合もあるので注意が必要です。

消費者物価指数の知っておきたい2つのポイント

消費者物価指数で知っておきたい2つのポイントを確認してみましょう。

消費者物価指数はGDPデフレーターと乖離している

消費者物価指数と同様に物価変動を示す指標にGDPデフレーターがあります。

どちらも物価変動の全体像を把握できる重要な指標とされていますが乖離している部分もあり、GDPデフレーターの方が変動率が低くなる傾向があります。

消費者物価指数とGDPデフレーターが乖離する理由は、以下のような違いがあるからです。

違い 消費者物価指数 GDPデフレーター
対象 家計消費のみ 家計消費以外に国内で生産されるすべての商品・サービス
輸入品価格の影響 受けやすい 受けにくい
算式 ラスパイレス式 パーシェ式

このように、消費者物価指数とGDPデフレーターはどちらも物価の動向を確認するための指標ですが、より身近な指標として考えられるのは消費者物価指数だといえます。

消費者物価指数にはバイアスの問題点がある

消費者物価指数は物価変動を把握する指標として万能とは言い切れない面もあり、日本の消費者物価指数は平均すると1%強は実態よりも高めになるバイアス(※)の問題点があります。

※偏り、かさあげという意味。統計学用語においては、推定していた数値と実際の数値でずれが生じること

バイアスが生じる原因としては、基準年で固定して計算するライパイレス式であることが考えられます。

基準年は5年間固定されますが、消費者物価指数の計算に用いられる比較時の消費構造は年数の経過に伴い変化するため、以下のような理由で実態から乖離しやすくなります。

  • 上方バイアス:基準年が固定されるので物価下落の実態が過小評価される
  • 新商品バイアス:基準年には存在していない新商品やサービスが含まれていない
  • 品質調整バイアス:基準年よりも品質が向上しても調整されていない

最新2020年の消費者物価指数について

実際に公表されている最新の消費者物価指数を確認してみましょう。

全国消費者物価指数 2020年2月分(2015年基準)

年平均(前年比%) 月次(前年同月比%)
2017年 2018年 2019年 2019年11月 12月 2020年1月 2月
総合 0.5 1.0 0.5 0.5 0.8 0.7 0.4
コアCPI 0.5 0.9 0.6 0.5 0.7 0.8 0.6
コアコアCPI 0.1 0.4 0.6 0.8 0.9 0.8 0.6

総合指数だけでなく、コアCPI(生鮮食料品を除く総合指数)、コアコアCPI(食料及びエネルギーを除く総合指数)がいずれも前年同月比でわずかにアップしていることがわかります。

上昇率としては大幅な数値ではないので低インフレといえます。

しばらく低インフレの状態が続いていますので、現状では株価への影響も少ないと考えることができるでしょう。

変動率がもっと高くなる傾向が見られると株価に影響することも考えられますので、ぜひ消費者物価指数の動きにも注目しましょう。

消費者物価指数を投資する際の一つのデータとして活用しよう

消費者物価指数は、私たちが日常生活で購入している身近なモノの価格変動を示しており、今後の経済状況にも影響を与える可能性が高い重要な指標でもあります。

株式投資においても消費者物価指数の動きは非常に重要な要素となり、消費者物価指数の動きによっては株価が大きく変わることも考えられます。

ただし、消費者物価指数だけで株価の動きを完全に予測することはできませんので、あくまでも参考指標の一つとして考え、ほかにも株価に影響を与えそうなデータを生かしながら株式投資に有効活用しましょう。